高知大学知的財産ポリシー
平成17年4月18日役員会決定 T.基本的な考え方 高知大学(以下「本学」という。)は、「教育基本法の精神に則り、国民的合意の下に、地域社会及び国際社会に貢献しうる人材育成と学問研究の充実・発展を推進する。」を建学の理念とし、さらに、その目的として次の5項目を掲げている。 1 豊かな教養と高度な専門性を目指す教育の実現 2 高度で実際的な学術研究の推進 3 地域社会との連携の強化 4 国際社会への貢献の推進 5 活力ある大学の運営 加えて、知的財産基本法において、「大学等は、その活動が社会全体における知的財産の創造に資するものであることにかんがみ、人材の育成並びに研究及びその成果の普及に自主的かつ積極的に努めるものとする。」と定められている。 これら本学の理念と目的等を踏まえ、「高知大学は、自ら創出した知的財産を、自らの責任のもとに、保護、管理、活用し、本学、教職員等、学生、地域社会が受ける利益の最大化を目指す。」との基本的方針を定め、学内外に周知を図るとともに、本学の使命の達成に貢献するものとする。 U.定義 1. 知的財産の定義 本ポリシーにおける「知的財産」とは、本学の教職員等の知恵と工夫、そして努力の結果生み出された知的創造物のうち、財産として価値を持つものを指す。 2. 対象者 本ポリシーの対象者は、本学に雇用されている者、その他本学の研究者としての採用時に本学における職務発明につき契約がなされている者、本学の施設等を利用する学外者で本学における職務発明に関する規則につき契約がなされている者(本ポリシーにおいて「教職員等」という。)をいう。 V.知的財産権の効果 研究成果を知的財産権化することは、本学にとって、次のような効果がある。 1. ロイヤリティーの還元及び更なる研究資金の獲得で新たな研究資金を生み出す。 2. 研究成果に対し産業界からの評価を受ける。 3. 成果物の実施化を通して新たな課題を知る。 4. 教職員等にフィードバックされ新たな研究、発明を生み出す貴重な機会となる。 5. 本学の研究成果が目に見える形で使われることにより、本学の社会との連携が促進され、評価が高まる。 W.研究成果等に関する取扱いと権利の帰属・承継・責務 1.権利の帰属・承継 本学の研究及び開発の成果物は、本学及び日本国民全体の財産であるとの観点並びに、「T.基本的な考え方」に基づき、本学の予算を使って行う研究等、又は本学が管理する施設、設備、装置を利用して行う研究等の結果の、教職員等が行った発明等(以下「職務発明等」という。)については本学に帰属する。 これらを用いていないものの本学の教職員等が創出し当該教職員等の本学における業務と密接に関連した内容を持つと認められる権利(注1)は、本学に帰属するものとする。共同研究、受託研究、奨学寄付金、政府からの研究資金に基づく発明についても教職員等が行った発明分については本学帰属とする。 この場合において、知的財産権化活動への貢献度を研究者の業績評価に反映するとともに、本学が職務発明等に基づく知的財産権の実施または処分により収益(収入)を得たときは、当該知的財産権に係わる発明をした発明者に対し、適正な補償金を支払うものとする。これらの補償金を受け取る権利は当該権利にかかわる発明者が転職または退職した後も存続するものとする。 2.教職員等の責務 本学の教職員等は、本学における知的財産の創出、保護、管理、活用にかかわる活動に積極的に取り組む。 すべての教職員等は、発明規則に基づき、速やかに発明等届出書を提出しなければならない。届出すべき発明は、職務発明に該当すると教職員等が考えるか否かに係わらず、教職員等が行ったすべての発明を対象とする。 (注1)例えば、教職員等が、本務である共同研究等において、本学の研究施設・設備・装置を用いずに行った研究(共同研究先の企業に出向いて研究を行う場合など)に生じた発明が該当すると考えられる。 X.知的財産の管理・活用の推進 1.知的財産管理部署の設立及び役割 (1)本学は、教職員等の知的財産権創出を組織としてフォローし、管理し、活用することにより、教職員等の権利を保護するため、知的財産管理に関する専門部署(地域連携推進センター)を設立し業務を担う。 (2)本学は、発明等届出書の提出を受けたときは、職務発明に該当するか否か、出願する権利の承継の可否について決定を行わなければならない。本学は、職務発明に該当しないと決定した場合、又は職務発明に該当すると決定したが出願する権利を本学が承継しないとの決定した場合には、出願する権利を発明者に返却するものとする。 (3)本学は、知的財産を適切に管理しなければならない。ただし、実施許諾等の活用の見通しがたたない知的財産については、経費の効率的な使用の観点から、機関としての維持・管理を取りやめる判断をすることがある。なお、機関として維持・管理を取りやめると判断した知的財産については、すみやかに発明者等に返還するものとする。 (4)本学は、教職員等から知的財産の取扱いに関する異議申立てがあった場合には、異議申立ての審査制度により、誠意をもって適切に対応する。 2.知的財産の活用 (1)本学は、知的財産が教職員等の努力及び創意工夫の成果であることを認識し、知的財産権を用いた研究資金の獲得や企業等への実施許諾等の活用を積極的に努めるものとする。その活動について、専門外部機関の活用も含めて検討を行う。 (2)実施権の設定及び権利譲渡 本学は、その保有する知的財産の有効活用を図るため、独占的な実施権の設定、非独占的な実施権の設定、譲渡等の手段を用いて、効果的・効率的にその活用を図る。実施許諾を行った後、正当な理由なく長期にわたり実施されない場合については、契約の解除、知的財産の返還、その他適当な措置がとれるよう、実施許諾契約、譲渡契約等で適切な措置を講じる。 (3)実施料の徴収 本学は、その研究成果を自ら実施化する機関ではないので、その保有する知的財産(企業との共同研究等から生じた共有特許等も含む。)を活用する者から、実施料を徴収することを原則とする。 (4実施における教職員等への対応 本学は、教職員等が退職後又は兼業により自己の発明等を活用して研究成果の普及を行う場合には、特別の対応をすることができる。 3.研究成果有体物の取扱い 本学に帰属する研究成果有体物の適切な管理を行い、もって外部機関との円滑な研究協力を図るために必要な規則を別に定め、これに従うものとする。 4.教職員等の守秘義務 知的財産の活用・実施化にあたり重要な役割を果たす企業にとって、知的財産は極めて重要である。このため研究成果及び発明等に関する秘密保持の重要性、特に企業からの受託研究や企業との共同研究における秘密保持の重要性を教職員等は十分に認識し、適切に対応する。 Y.利益相反マネジメント 本学は、社会貢献にあたり、不可避的に生じうる利益相反や責務相反の問題について、高知大学利益相反マネジメントポリシーを定め、これに従うものとする。 Z.見直しの実施 国の知的財産戦略の見直し、地域社会における本学の役割など、本学の知的財産活動を取り巻く状況の変化に適切に対応するために、本ポリシーの見直しを適宜実施するものとする。 |